メンタル守備・技術

集中力がないと言われていた低学年の子が、「もう終わり?もっとやりたかった」と言った理由

「うちの子、集中力がなくて困っているんですが…」

レッスン前の保護者面談で、よく聞く言葉です。

ぼくはこの言葉を聞くたびに、正直こう思います。「集中力がないんじゃなくて、伝え方が合っていないだけかもしれないな」と。

今日は、「集中力がない」と言われていた低学年の子が、レッスン終わりに「もう終わり?もっとやりたかった!」と言うようになったエピソードをお伝えします。

「集中力がない」は本当か

まず、大前提として話させてください。

子どもの「集中力がない」という問題の多くは、子ども側の問題ではなく「伝え方のミスマッチ」によるものです。

低学年の子が5分と集中できないのは、ある意味自然なことです。子どもの脳の発達段階を考えると、長い説明を聞き続けること自体が難しい年代なんです。

でも大人はつい「ちゃんと聞いてよ!」と言ってしまう。

子どもは「集中していない」のではなく、「理解できないから興味を失っている」だけのことが多い。

問題は「伝え方」にあった

その子(小学2年生)のレッスンをする前に、前のコーチがどんな指導をしていたか聞いてみました。

「ゴロを捕るときは、膝を曲げて腰を低くして、グローブを下から出して、目をボールから離さないで、右足を前に出して……」

1回の説明でこれだけの情報を詰め込んでいたんです。

大人でも難しいと思います。まして小学2年生には、この量の情報を一度に処理することはできません。

情報が多すぎると、脳は処理をあきらめます。それが「ぼーっとしている」ように見える状態です。

シンプルに、短く、具体的に

ぼくが実践したのはシンプルなことです。

伝えることを1つに絞る。言葉を短くする。具体的に言う。

「まず、ボールを見てよ。それだけ」

これだけです。

最初は半信半疑でしたが、これを言った瞬間、その子の目が変わりました。「ボールを見る」というたった一つのことに集中できるようになったんです。

「ちゃんとできた!」という成功体験が生まれると、次の指示を聞く準備ができます。

1つできたら次の1つ。この積み重ねが、子どもの集中力を伸ばします。

飽きないための「変化」の作り方

もうひとつやったことは、練習に「変化」を加えることです。

同じ練習を繰り返していると、大人でも飽きます。ましてや低学年の子どもはなおさらです。

5〜10回同じ動きをしたら、ちょっとだけ変化を加える。打球の方向を変える。速さを変える。距離を変える。

「次はどんな変化が来るかな?」という期待感が、集中力を持続させます。

そしてこれが大事——変化させるたびに「今度は何を意識する?」と聞く。

子どもが自分で考えることで、受け身ではなく主体的に練習に取り組むようになります。

「今日いちばんいい動きをしよう」

レッスンの途中で、こう声をかけてみました。

「次の1球、今日いちばんいい動きをしてみよう」

するとその子の目が輝いたんです。「今日いちばん」という言葉が、子どもの中の「勝負スイッチ」を入れたのかもしれません。

この言葉、不思議なくらい効きます。「頑張れ」よりも「今日いちばんいい動きを」の方が、子どもの集中度が上がる。

理由はたぶん、「今日いちばん」という言葉が「この1球」にフォーカスさせるからだと思います。「上手くやらなきゃ」という漠然とした不安ではなく、「今のこの1球」への集中が生まれる。

レッスン終わりの「もう終わり?」

この日のレッスンが終わったとき、その子が言いました。

「もう終わり?もっとやりたかった!」

保護者の方もびっくりしていました。「いつもは帰りたがるのに」と。

何も特別なことはしていません。伝え方を変えただけ。1回に伝えることを1つにした。変化を加えた。「今日いちばん」という言葉を使った。それだけです。

「集中力がない」と思っていた子が、「もっとやりたい」と言う。

これが子どもの本来の姿だとぼくは思っています。

まとめ

お子さんが「集中力がない」と感じているなら、まず疑ってほしいのは「伝え方」です。

シンプルに、短く、具体的に。1回に1つだけ。そして変化と「今日いちばん」の声かけを加える。

これだけで、子どもの集中力は劇的に変わります。ぜひ今日から試してみてください。

うえちコーチについて

元甲子園球児(犠打9・大会記録保持)/内野守備パーソナルコーチ・スポーツメンタルトレーナー/現役消防士・3児のパパ。100人以上の選手と向き合ってきた現場経験から「すぐに実践できて、今日から変わる1つ」をお届けします。

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