「なんでこんな簡単なゴロを…」その一言が、子どもの守備を止めてしまいます
こんにちは、上地俊樹です。少し厳しいタイトルにしました。でも、これは私が現場で何度も見てきた、子どもの成長を一瞬で止めてしまう「あの一言」についての話です。心当たりがある方も、どうか責められているとは思わず、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
子どもはエラーした瞬間、必ず親の顔を見る
試合中、ベンチから子どもたちを観察していると、あることに気づきます。エラーをした瞬間、ほぼ全員の子どもが、ボールよりも先に「観客席の親の顔」を見るのです。
これは何を意味するか。子どもは技術以前に、「お父さん、お母さんに怒られないか」という不安と戦っているということです。プレーに集中できる前提として、「失敗しても大丈夫」という心の土台が必要なのです。
「簡単なゴロ」は、子どもには複雑なゴロです
大人から見れば「なんでこんな簡単な…」と感じる正面のゴロ。でも実は、子どもの脳内では0.3秒ほどの間に最低でも6つの情報処理が行われています。
- 打球のスピードを読む
- バウンドの大きさを予測する
- 自分の立ち位置を修正する
- グラブの角度を合わせる
- 体重移動を整える
- 送球先を確認する
大人なら無意識でできることも、子どもにとっては毎回が「初めての処理」です。「簡単」という言葉は、その努力を一瞬でゼロにしてしまう怖さを持っています。
「なんで」が子どもから奪う4つのもの
「なんで捕れないの?」「なんでそこに投げるの?」――この「なんで」という言葉は、責めるつもりがなくても、子どもからたくさんのものを奪ってしまいます。
- 自信:自分はダメだという思い込みを植え付ける
- 挑戦心:難しい打球を捕りに行かなくなる
- 判断力:失敗を怖がり、考えるよりも逃げを選ぶ
- 野球そのものへの愛情:楽しさより恐怖が勝ってしまう
特に4つ目は深刻です。私はこれまで「中学で野球をやめます」という子を何人も見てきました。理由を聞くと、口を揃えて「親に怒られるのがつらかった」と言うのです。技術ではなく、声かけで離れてしまう子が本当に多いのです。
もし言ってしまったら:きつい言葉の後の回復法
とはいえ、人間ですから、つい厳しい言葉が出てしまうこともあります。大事なのは、その後のリカバリーです。私がいつも親御さんに伝えているのは、次の3ステップです。
- 1. 認める:「さっきは言いすぎたね、ごめん」と素直に謝る
- 2. 切り替える:「次の守備機会、楽しみにしてるよ」と前を向かせる
- 3. 抱きしめる:言葉が苦手なら、肩をポンと叩くだけでもいい
親が謝ることは、子どもにとって「失敗しても取り戻せる」という最大の教育になります。完璧な親より、間違いを認められる親のほうが、子どもは何倍も尊敬してくれるものです。
伸びている子の親御さんの共通点
私がこれまで関わってきた中で、ぐんぐん伸びる子のお父さん・お母さんには共通点があります。それは、エラーした瞬間も「中立的な表情」をしていることです。
怒るわけでも、過剰に励ますわけでもない。ただ「大丈夫、次があるよ」という、いつもと変わらない表情。これが子どもに安心を与え、次のプレーへの一歩を軽くしてくれます。
今日からぜひ、観客席での表情を意識してみてください。声かけよりも先に、まずは表情です。お子さんはきっと、いつもより伸び伸びとプレーするようになりますよ。一緒に、子どもたちの「挑戦できる心」を守っていきましょう。
うえちコーチについて
元甲子園球児(犠打9・大会記録保持)/内野守備パーソナルコーチ・スポーツメンタルトレーナー/現役消防士・3児のパパ。100人以上の選手と向き合ってきた現場経験から「すぐに実践できて、今日から変わる1つ」をお届けします。