「入団が決まりました。何を買えばいいですか?」
毎年3〜4月、指導している親御さんから必ず聞かれる質問です。スポーツ用品店に行くと、ずらりと並んだグローブ・スパイク・バットを前に、ほとんどの親御さんが呆然とします。そして、店員さんに勧められるまま一式揃え、1ヶ月後に後悔します。
「サイズが合わなかった」「すぐ使わないものまで買ってしまった」「10万円近くかかった」── 私が見てきたパターンです。
この記事では、「何を・いつ・どの順番で買うか」を、100組の親子を見てきた現場感覚でお伝えします。結論、入団直後に全部揃える必要はありません。
入団直後に「本当に必要」なのは4つだけ
以下の4つがあれば、入団後1ヶ月は問題なく練習に参加できます。
- グローブ(練習初日から必須)
- 運動靴(スパイクではなく):最初の1-2ヶ月はスニーカーで十分
- 帽子(チーム指定の場合が多いので入団時に確認)
- 練習着(Tシャツ+ジャージ):手持ちでOK
スパイク・バット・ヘルメットは、1ヶ月様子を見てから買うのが鉄則。理由は後で説明します。
なぜ「全部揃えない」が正解なのか
現場で何度も見てきた失敗パターンがあります。
入団前に一式8万円揃えた → 2ヶ月で子どもが辞めたいと言い出した → 使わないスパイクとバットだけが残った
小学生の入団は「続くか続かないか」がまず分かりません。特に低学年は、2〜3ヶ月で気持ちが変わる可能性が現実にあります。
そして、子どもの足・手は半年で1サイズ以上変わります。入団前に買ったスパイクが、本格的に使う頃にはもうキツい ── これも毎年見る光景です。
最初の1ヶ月は練習量も少なく、スニーカーでも十分ついていけます。本人が「本気で続ける」と意思表示してから、段階的に揃えるのが経済的にも心理的にも正解です。
買う順番のロードマップ
【入団前〜入団1週目】グローブだけは本人と試着して買う
グローブは絶対に本人の手で試着して買ってください。ネット通販・サイズ表だけで選ぶと、ほぼ失敗します。親指・小指の収まり具合、開閉のしやすさは個体差が大きく、店頭で10分試すだけでも合う合わないが分かります。
サイズの選び方はジュニアグローブのサイズ選び方(完全ガイド)を参照してください。店に行く前に読んでおくと、店員さんの提案を冷静に判断できます。
【入団後1ヶ月】スパイク・帽子など本格装備に移行
1ヶ月練習に通って「続けたい」と子ども本人が言ったら、スパイクを買うタイミングです。運動靴で練習するより明らかに動きやすくなるので、モチベーションも上がります。
チーム指定の帽子・ユニフォームはこの時期に支給されることが多いので、合わせて確認しましょう。
【入団後2〜3ヶ月】バット・ヘルメットなど高額品
バットは試合に出始める頃に必要になります。それまでは共用バットで十分。ヘルメットも多くのチームは共用があるので、個人購入は「試合で打席に立つのが当たり前になってから」で遅くありません。
チェックしておきたい「意外な落とし穴」
① 入団金・年会費・月謝の確認
道具以外の費用が意外と大きいです。入団金(1〜3万円)・月謝(2,000〜6,000円)・年会費・大会参加費・遠征費。道具より先に、年間トータル費用を確認してください。
② お茶当番・車出しの負担
共働き世帯ほど注意すべきポイント。チームによって負担量が全く違います。詳しくはお茶当番・車出しの負担を減らす方法をご覧ください。
③ 洗濯・ケアの手間
白いユニフォームの泥汚れは想像以上です。入団前に、家事分担を家族で話し合っておくと、入団後の揉め事が減ります。
道具を揃える時の3つの原則
- 最低限で始める:続くか分からない段階で全部揃えない
- サイズは本人の手足で確認:ネット通販は2回目以降で
- チームの先輩保護者に聞く:そのチームならではの必需品がある
入団後に読んでおきたい記事
道具が揃ったら、次に大事なのは「親の関わり方」です。最初の1ヶ月の関わり方ひとつで、子どもが野球を好きでい続けられるかが決まります。
最後に
入団準備で失敗しないコツは、たったひとつ。「最初から完璧を目指さない」。
子どもが野球を続けるかどうかは、道具の揃え方では決まりません。必要になったタイミングで、本人と一緒に選びに行く ── その体験そのものが、子どもの野球人生の思い出になります。
焦らず、お子さんのペースに合わせて揃えていってください。
—— 上地俊樹/少年野球指導10年・3児の父