守備・技術

内野守備がうまくなるために、レッスン中の上地俊樹の頭の中はどうなっているのか

「コーチは守備レッスン中、何を考えているんですか?」

先日、保護者の方からそう聞かれました。

面白い質問です。ぼく自身、普段は無意識にやっていることを「言語化してみよう」と思って、改めて考えてみました。

今日は、ぼくが内野守備レッスン中に頭の中で考えている6つのことをお伝えします。

① まず「技術」より「心の状態」を見る

レッスンの最初、ぼくが見るのは技術ではありません。

「この子、自信を持って動けているか?」「ボールを怖がっていないか?」「ミスへの恐怖で体が固まっていないか?」

表情、目の動き、構えの力み具合——こういったことから「心の状態」を読みます。

心の状態が固まっている子に技術指導をしても、体は動きません。まず「安心してプレーできる状態」を作ることが先です。

消防士の現場でも、まず現場の状態を確認してから動く。焦って先に動いても、判断を間違える。順番が大事なんです。

② 「何を足すか」より「何を取り除くか」

守備が不安定な選手を見るとき、ぼくは「何を教えようか」より「何を取り除こうか」を考えます。

「考えすぎている」——複数のことを同時に意識しようとしている。

「緊張しすぎている」——失敗への恐怖が体を固めている。

「自分を見すぎている」——「うまくやらなきゃ」という自意識が邪魔している。

これらを取り除くことが、技術を教えることより先に必要なことが多い。シンプルにすることで、動けるようになる子がたくさんいます。

③ 1つのレッスンで「フォーカスするのは1つだけ」

1回のレッスンで、ぼくが意識させることは1つだけです。

バウンドの読み、ファーストステップ、構えの形、送球の方向——これらを同時に指示することを、意図的に避けます。

なぜなら、人の脳は複数のことを同時に改善できないからです。1つに集中した子の伸び方と、複数を同時に意識しようとした子の伸び方は、明らかに違います。

「今日はこれだけ」という明確な目標を持って練習に取り組む子は、そのことだけは確実に上手くなります。

④ エラーを「技術以外」の観点で診断する

エラーが起きたとき、ぼくは反射的に「グローブの位置が悪い」「姿勢が高い」とは見ません。

「バウンドを観察する時間が十分あったか?」「判断ができる位置にいたか?」「心理的なプレッシャーが体を固めていなかったか?」

こういった技術以外の要因を先に確認します。

技術的なミスに見えるエラーの多くが、実は「判断のタイミング」や「心理状態」の問題だったりします。原因が違えば、解決策も変わります。

⑤ 「感情」で終わる

レッスンの最後の1球は、「成功で終わる」よりも「感情がいい状態で終わる」を優先します。

うまく捕れた喜び。チャレンジできた充実感。「もう1球やりたい」という前のめりな気持ち。

こういった感情の状態でレッスンが終わると、次のレッスンへの意欲が全然違います。「また来たい」という気持ちが、継続する力になります。

逆に、難しいことに挑戦して失敗したまま終わると、「うまくいかなかった」という記憶が残りやすい。それが「練習が嫌い」につながることもあります。

⑥ 「この子の1週間後」を想像する

レッスン中、ぼくは常に「この子は1週間後、グラウンドでどんなプレーをしているか」を想像しています。

今日教えたことが、チームの練習でどう生かされるか。今日の変化が、次の試合でどう出るか。

「レッスン中だけうまくできる」ではなく、「日常の練習と試合で使える」ことを目指して組み立てています。

そのために「なぜそうするのか」の理由を必ず伝えます。理由がわかった子は、コーチがいなくても自分で判断して動けます。「言われたからやる」ではなく「理由がわかってやる」子の方が、長期的な成長が大きい。

まとめ

ぼくがレッスン中に考えている6つのこと:

心の状態を先に見る。何を取り除くかを考える。1つだけにフォーカスする。技術以外でエラーを診断する。感情がいい状態で終わる。1週間後を想像する。

技術を教えることは、この6つの後にあります。

「どう教えるか」より「その子が今、何を必要としているか」——これがぼくの守備レッスンの出発点です。

うえちコーチについて

元甲子園球児(犠打9・大会記録保持)/内野守備パーソナルコーチ・スポーツメンタルトレーナー/現役消防士・3児のパパ。100人以上の選手と向き合ってきた現場経験から「すぐに実践できて、今日から変わる1つ」をお届けします。

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