今日は少し恥ずかしい話をします。
ぼくが一番後悔している、子どもへの一言の話です。
「今日、エラーした?」
試合から帰ってきた子どもに、ぼくはついこう聞いていました。
「今日、エラーした?」
悪意はゼロです。責めているわけでもない。ただ、どんな試合だったか気になっていた。心配していた。
でも、この一言を聞いた子どもの表情が変わるのを、ぼくは何度も見ました。
玄関で靴を脱ぎながら、少し楽しそうだった顔が、一瞬で固まる。「えっと……1回エラーしちゃった」と小さな声で答えて、そのあと黙ってしまう。
その「沈黙」で気づきました。ぼくはとんでもないことを聞いてしまっていたんだと。
なぜこの一言が問題か
子どもは試合の帰り道、いろんな気持ちを抱えています。
楽しかった場面、悔しかった場面、緊張した場面、うまくいった場面——それらが混ざり合った状態で、まだ感情が整理できていない。
そこに「エラーした?」という質問が来ると、子どもの意識はその一言に引っ張られます。
楽しかった記憶より、エラーした記憶がクローズアップされる。試合のハイライトを「エラーしたかどうか」という軸で再編集されてしまう。
しかもこの質問は、言葉の表面はニュートラルに見えても、子どもには「ちゃんとできたか」という評価の視線として届きます。
「パパは結果を見ている」「エラーしたことを気にしている」——そういうプレッシャーとして受け取られてしまうことがあるんです。
本当は何を聞きたかったのか
振り返ってみると、ぼくが本当に聞きたかったのは「エラーしたかどうか」じゃなかった。
子どもがどんな気持ちで試合をしたか。緊張したか、楽しかったか、悔しかったか——その気持ちを知りたかっただけなんです。
でも「エラーした?」という言葉が、ぼくの本当の気持ちとは逆の方向に働いてしまっていました。
「気にかけているよ」「見てたよ」を伝えたかったのに、プレッシャーになってしまっていた。
見つけた「解決策」
ぼくがたどり着いたのは、シンプルな方法です。
試合直後は、野球の話をしない。
これだけです。
帰りの車では、今日の夕ご飯の話や、学校の友達の話や、どうでもいい話をする。
最初は「聞かなくていいのかな」という不安がありました。でも、試合の話を聞かないでいると、不思議なことが起きました。
子どもの方から話し始めるんです。
「今日さ、あの場面でさ」「コーチにこう言われてさ」「〇〇くんがすごいプレーしてさ」
自分のタイミングで、自分の言葉で、試合の話をしてくれる。
自分から話してくれたときの子どもの表情は、「エラーした?」という質問に答えるときとは全然違います。生き生きとしている。楽しそうにしている。悔しそうでも、自分の言葉で語るから、気持ちを整理しながら話せている。
「完璧な親の声かけ」はない
この経験から学んだことがあります。
親は完璧な声かけをしなくていい。でも「この一言は後悔するかもしれない」と気づく力は大事だということです。
「エラーした?」という一言を後悔してから、ぼくは試合後の声かけをずいぶん変えました。うまくいっているかどうかはわかりません。でも、子どもが野球の話を自分からしてくれるようになったのは、確かです。
同じように「言ってしまったな」と思う一言がある親御さんへ。
それを後悔できていること自体が、子どもの成長と真剣に向き合っている証拠です。完璧な親は誰もいません。気づいて、少し変えてみることで、子どもとの関係は変わっていきます。
まとめ
「エラーした?」——悪気はなくても、この一言が子どもにプレッシャーを与えることがある。
試合直後は野球の話をしない。子どもが自分から話してくれるのを待つ。
それだけで、子どもが野球の話を「楽しそうに」話してくれるようになります。まずは、黙って待つことから始めてみてください。
うえちコーチについて
元甲子園球児(犠打9・大会記録保持)/内野守備パーソナルコーチ・スポーツメンタルトレーナー/現役消防士・3児のパパ。100人以上の選手と向き合ってきた現場経験から「すぐに実践できて、今日から変わる1つ」をお届けします。