守備が伸びていく子は「練習の終わり方」が違う
こんにちは、上地俊樹です。多くの少年野球チームを見てきて、ひとつ気づいたことがあります。守備が確実に伸びていく子と、伸び悩む子の違いは、技術以上に「練習の組み立て方と締めくくり方」にあるということです。
同じノックを同じ本数受けていても、頭の使い方が違えば成長スピードは全く変わります。今日はその「考え方」の違いを3つに整理してお伝えします。
その1:試合を想定した一連の流れでやる
伸びる子の練習は、いつも「試合のどの場面か」がはっきりしています。たとえば「無死一塁、ショートゴロ、ゲッツーを狙う場面」というふうに、状況をイメージしながらノックを受けています。
逆に伸び悩む子は、ただ「ゴロを捕って投げる」を繰り返しているだけ。同じ動作でも、頭の中で起こっていることがまるで違うのです。
あるチームで、ノックの前に必ず「これは何アウト何塁の場面ね」と声をかけるようにしたところ、たった2か月で試合での判断ミスが激減しました。子どもたちは「ただ捕る練習」から「試合で使う練習」へと切り替わったのです。
その2:あえて成功で終わらせない練習
これは少し意外に思われるかもしれません。多くの指導者は「最後はナイスプレーで気持ちよく終わろう」と言います。それも悪くはありません。ただ、伸びる子の練習はちょっと違うのです。
あえて難しい打球、捕れるか捕れないかギリギリの打球で締めくくる。そして「今のはなぜ捕れなかった?」を一緒に考える。失敗を持ち帰ることで、次の練習までの間にも子どもの頭の中で復習が続くのです。
- 成功で終わると → 「今日もできた」で記憶が止まる
- 課題で終わると → 「次はこうしよう」と考え続ける
もちろん、子どものメンタルに合わせてバランスは必要です。でも「最後まで気持ちよく」だけでは、伸びしろが頭打ちになってしまうことも事実なのです。
その3:失敗が次のプレーにつながる練習
伸びる子は、エラーしたあとの行動が違います。捕れなかったボールをただ拾いに行くのではなく、「今のはバウンドが合わなかったから、次は半歩前に出よう」と修正しながら次の打球に向かいます。
これは私が現役の頃にコーチから教わった言葉ですが、「エラーは情報」なのです。失敗そのものに価値はなくても、そこから得られる情報には大きな価値があります。失敗を流さず、ひとつずつ拾い上げる習慣こそが、守備を伸ばす土台になります。
練習の最後に「今日の失敗から何が分かった?」と1分だけ振り返る時間を作るだけで、子どもの成長スピードは驚くほど変わります。
親御さんへ:練習後の「あの一言」を変えてみてください
多くの親御さんが、練習や試合の帰り道で「今日のナイスプレーは何?」と聞きます。これも素晴らしい声かけです。ただ、それに加えてもうひとつ、こう聞いてみてほしいのです。
「今日、うまくいかなかったプレーは何?」
このひと言が、お子さんに「失敗を振り返る習慣」を授けます。失敗を隠さず、責められず、一緒に考えてもらえる安心感の中で、子どもは初めて自分の弱点と向き合えるようになります。
守備が伸びる子の親御さんは、例外なくこの「振り返りのパートナー」をしてくれています。技術指導は私たちコーチに任せてください。親御さんにしかできないのは、家庭での会話の中で「考える力」を育てることです。今日からぜひ、車の中で1分だけでも試してみてくださいね。
うえちコーチについて
元甲子園球児(犠打9・大会記録保持)/内野守備パーソナルコーチ・スポーツメンタルトレーナー/現役消防士・3児のパパ。100人以上の選手と向き合ってきた現場経験から「すぐに実践できて、今日から変わる1つ」をお届けします。