メンタル育児×スポーツ

厳しさはやっぱり必要だと思う

「最近のスポーツ指導は優しくなりすぎた」

こういう声を聞くことがあります。

「厳しくしないから、子どもが弱くなる」「もっと鍛えないとダメだ」——正直言うと、ぼくにも同じような気持ちになるときがあります。

でも同時に、「厳しさ」という言葉が誤解されて使われているなとも感じます。

今日は「厳しさとは何か」について、ぼくが思うことを正直に書きます。

厳しさには「2種類」ある

厳しさには、2つの種類があります。

子どもを強くする厳しさと、子どもを萎縮させる厳しさです。

前者は、子どもの可能性を信じた上で高い基準を求めるもの。後者は、恐怖やプレッシャーによって動かそうとするものです。

どちらも「厳しい」という言葉で表現されますが、子どもへの影響はまったく逆です。

消防士として現場に立っていると、この違いをリアルに感じます。上司から怒鳴られて萎縮した訓練員は、本番で判断が遅くなる。一方、「お前ならできる」という期待を持って厳しく指導された訓練員は、プレッシャーの中でも判断が冷静です。

同じ「厳しさ」でも、受け取り方は天と地ほど違う。

厳しい指導に応えられる子の共通点

ぼくがレッスンで見てきた中で気づいたことがあります。

厳しいレベルの要求にも前向きに応えられる子には、ある共通点があります。

「自分のことを、ちゃんと見てもらえている」という感覚がある子です。

「コーチはぼくの頑張りをちゃんと見ている。だから、厳しいことを言っても、それはぼくを信頼しているからだ」

この感覚があると、厳しい言葉が「叱責」ではなく「期待」として届きます。

「期待されている」と感じている子は、厳しい要求をプレッシャーではなく、チャレンジとして受け取れます。

逆に「ただ怒られている」と感じている子は、同じ厳しさでも萎縮して、動きが固まります。

厳しさが「期待」として伝わるための工夫

では、どうすれば厳しさが「期待」として伝わるか。ぼくが意識していることを4つお伝えします。

① 叱る前に「見てたよ」と一言添える

「あのプレー、ちゃんと足が出てたね。でも次はもう一歩前に出てほしい」

叱る前に「見ていた」という事実を伝えることで、「自分のことを見てくれている」という安心感が生まれます。

② 結果ではなく、努力に対して高い基準を設ける

「結果がダメだったから叱る」ではなく、「努力が足りないときに厳しくする」という基準を持つことが大事です。

一生懸命やってミスした子を叱っても、子どもは「努力してもダメなんだ」と学んでしまいます。

③ 子どもが苦しんでいるときは短く

試合で悔しい思いをして落ち込んでいる子に、長々と反省を求めない。苦しいときは受け止めるだけでいい。

④ 本物の努力を具体的に認める

「頑張ったね」より「あの場面で諦めずに走り続けたのがよかった」という具体的な言葉が、子どもの自己効力感を育てます。

人間育成の「7割」を担う厳しさ

ぼくが大切にしている「人間育成7:勝利3」という考え方の中で、厳しさは「人間育成の7割」を担うものだと思っています。

勝つためだけの厳しさは長続きしない。でも「この子に成長してほしい」「この子の可能性を信じている」という思いから来る厳しさは、子どもに伝わります。

本当の厳しさとは、「あなたにはもっとできる」という信頼の表現です。

ぼく自身、高校時代に怖い監督の下で練習しました。でも今振り返ると、その厳しさは「お前たちを甲子園に連れて行く」という信念から来ていたと思える。だから辛くても続けられた。

子どもに厳しくするとき、自分に問いかけてほしいのです。「これは子どもへの信頼から来る厳しさか、それとも自分の感情から来る厳しさか」と。

まとめ

厳しさは必要です。でも、どんな厳しさかが大事です。

「見てもらえている」「期待されている」と感じる子は、厳しさをプレッシャーではなくエネルギーに変えられます。

あなたの厳しさが、子どもの背中を押すものになるかどうか——それは、厳しくする前の「ひとことの丁寧さ」にかかっています。

うえちコーチについて

元甲子園球児(犠打9・大会記録保持)/内野守備パーソナルコーチ・スポーツメンタルトレーナー/現役消防士・3児のパパ。100人以上の選手と向き合ってきた現場経験から「すぐに実践できて、今日から変わる1つ」をお届けします。

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