「少年野球って、お金かかりますよね……」
レッスン後に保護者の方からよく聞く言葉です。
グローブ、スパイク、バット、ヘルメット、ユニフォーム、遠征費、チーム費——確かに、積み上げると相当な金額になります。ぼく自身も3人の子どもを育てている親として、この話は「他人事じゃない」と感じています。
だから今日は、お金の不安を少し軽くするための「道具との向き合い方」をお伝えします。
「高い道具=上達が早い」は本当か
まず、ひとつ正直に言わせてください。
ぼくがこれまで関わってきた100人以上の選手を見てきて、「道具が高いから上手い」という子に会ったことは、ほぼありません。
むしろ逆の場面をよく見ます。
ちょっとくたびれたグローブを毎日丁寧に手入れしている子が、高価なグローブを持っているけど雑に扱っている子より、ずっと早く上達していく——そういう場面を、何度も見てきました。
道具への「向き合い方」が、上達のスピードを左右するんです。
「サイズアウト」が悩みの原因
道具にかかるお金の問題の多くは、「子どもがすぐ大きくなる」という現実から来ています。
去年買ったスパイクが今年はもう合わない。グローブも手が大きくなって使いにくくなってきた。ユニフォームが小さくなった。
子どもの成長は親にとって嬉しいことですが、道具の面では悩みのタネになりますよね。
そこで知っておいてほしいのがフリマアプリの活用です。
メルカリ・ラクマ・ジモティーなどには、状態のいい中古の野球用品がたくさん出ています。特にグローブやスパイクは、短期間しか使っていないものが多く出品されています。
「中古はちょっと…」という方も多いですが、正直に言うと、子どもは道具を新品で買っても数ヶ月で汚してしまいます。最初のうちはフリマで状態のいいものを探すのは、十分合理的な選択です。
優先して投資するべき「3つ」
じゃあ、お金をかけるとしたらどこか。ぼくの答えははっきりしています。
① 正しくフィットしたグローブ
グローブは守備の命です。手の大きさに合っていないグローブは、どれだけ練習しても上達の妨げになります。安くても、手にフィットしているグローブの方がずっといい。
② 安全なスパイク
スパイクは足首への負担や怪我に直結します。見た目より「フィット感」と「足首のサポート」を優先してください。成長期の子どもの足を守ることは、野球を長く続けるために一番大事な投資です。
③ 質の高いコーチング
ぼくがコーチとして言うのは少し手前味噌かもしれませんが、道具よりも「指導の質」の方が上達への影響は大きいです。
正しいフォームを身につける。なぜそうするのかを理解する。試合での判断力を育てる——これらは道具ではなく、指導者との関わりの中で育まれます。
親の経済的ストレスが子どもに伝わる
これはぼくが一番伝えたいことです。
親御さんが「お金がかかって大変だ」「こんなに払ってるのにうまくならない」という気持ちを持っていると、それは子どもに伝わります。
子どもは敏感です。親の表情、声のトーン、ため息のひとつから、「自分のせいでパパ・ママが大変そう」と感じます。それがプレッシャーになり、「失敗したら怒られる」「うまくやらなきゃ」という緊張につながることがあります。
野球を楽しむためには、グランドの外の「家庭の空気」も大切です。
道具にお金をかけすぎて、経済的に苦しくなるよりも、無理のない範囲で揃えて、子どもと一緒に楽しく取り組む方がずっと大事だとぼくは思っています。
まとめ
道具にお金をかけることは悪いことではありません。でも「高い道具が子どもを上手くする」という考えは、少し立ち止まって考えてみてほしいのです。
フィットしたグローブ、安全なスパイク、質の高いコーチング——ここに優先的に投資し、他は中古やシンプルなもので十分です。
そして何より、親御さんが「野球を楽しんでいる子ども」を笑顔で見守れる環境を作ることが、一番の「投資」だとぼくは思っています。
うえちコーチについて
元甲子園球児(犠打9・大会記録保持)/内野守備パーソナルコーチ・スポーツメンタルトレーナー/現役消防士・3児のパパ。100人以上の選手と向き合ってきた現場経験から「すぐに実践できて、今日から変わる1つ」をお届けします。