ミスをした後の子どもに、どんな言葉をかけるか。
パパやママにとって、これほど悩む場面はないかもしれません。ぼくも3人の子どもを持つ親として、何度も迷ってきました。そして、100人以上の少年野球選手とその親御さんと関わってきたコーチとして、ひとつはっきりわかったことがあります。
「最初の一言」が、その後の子どもの成長を大きく左右する、ということです。
「ドンマイ!」がうまく伝わらない理由
試合でエラーして下を向く子を見たとき、多くのパパが反射的に言う言葉があります。
「ドンマイ!」「気にすんな!」「次があるよ!」
気持ちはわかります。子どもを励ましたい。早く元気になってほしい。でも実は、この言葉が子どもの心にうまく届かないことが多いのです。
なぜかというと、子どもはその瞬間、「評価」ではなく「理解」を求めているからです。
「次があるよ」という言葉は、今感じている「悔しさ」をまるごと飛ばして、未来に意識を向けさせようとします。でも子どもからすれば「今の気持ちをわかってもらえていない」と感じてしまう。そのギャップが、かえって心を閉じさせることがあるんです。
消防士として学んだ「まず存在を認める」こと
ぼくは消防士として、緊急場面で人と関わる仕事をしています。そこで学んだことのひとつが、「まず存在を認める」ことの大切さです。
火災現場や救急の現場で動揺している人に、最初から「大丈夫ですよ!気にしないで」と言っても、心は落ち着きません。まず「今、怖かったですよね」「つらかったですよね」と感情を受け止める。それだけで、人の呼吸は少し整います。
子どもも同じです。ミスをして悔しそうな子どもに、最初にすべきことは「解決策」ではなく「共感」です。
まず伝えるべき「3秒の一言」
声かけで迷ったときは、ただこれだけ言ってみてください。
「悔しかったね」
たったこれだけです。説明も、アドバイスも、励ましも、このあとでいい。
「悔しかったね」という言葉には、「お父さんはちゃんと見ていたよ」「あなたの気持ちがわかるよ」というメッセージが含まれています。子どもはそれを受け取ったとき、心の中に「安全地帯」ができます。
ぼくが守備レッスンをしていて気づいたのは、コーチからの共感の一言があった子は、次の練習への取り組み方がまるで変わるということです。「また頑張ってみよう」という気持ちが自然と湧いてくるんです。
気持ちが落ち着いたら、次のステップへ
「悔しかったね」という一言で子どもの気持ちが少し落ち着いたら、次にできることがあります。
ポイントはよかったところを先に伝えることです。
「あのゴロ、前に出ようとしてたの、ちゃんと見てたよ」「ボールから目を離さなかったね」
ミスをした場面でも、必ずひとつはよかった部分があります。それを見つけて伝えることで、子どもは「ミス=全部ダメ」ではなく、「ひとつひとつ改善していける」という感覚を持ち始めます。
よかった点を伝えたあと、最後にこう聞いてみてください。
「次は何を試してみる?」
「何が悪かった?」ではなく、「次に何をする?」という問いかけです。前者は反省を強いる言葉。後者は「自分で考える力」を育てる言葉です。
親の言葉が「野球を続けるかどうか」を決める
ぼくがこれまで関わってきた子どもたちの中に、一度野球が嫌いになりかけた子がいました。理由を聞くと、「エラーするたびにパパの顔が怖くなるから」というものでした。
親御さん本人はそんなつもりはなかった。ただ、悔しくて、厳しい顔になっていた。でも子どもはそれを「ミスをしたら怒られる」と受け取っていたんです。
ミスをした瞬間の親の反応が、子どもにとって「野球が安心できる場所かどうか」を決めます。
だからこそ、最初の一言を大切にしてほしいのです。
まとめ
子どもはミスと共に成長します。大事なのはミスをしないことではなく、ミスのあとにどう立ち上がれるかです。
そのそばに「悔しかったね」と言える大人がいるかどうか。それだけで、子どもの成長のスピードは大きく変わります。
声かけひとつで、子どもの野球人生は変わります。ぜひ今日から試してみてください。
うえちコーチについて
元甲子園球児(犠打9・大会記録保持)/内野守備パーソナルコーチ・スポーツメンタルトレーナー/現役消防士・3児のパパ。100人以上の選手と向き合ってきた現場経験から「すぐに実践できて、今日から変わる1つ」をお届けします。