練習試合の帰り道、ベンチだった息子さんが、ポツリと言ったそうです。
「なんで僕、試合に出られないの?」
何と答えていいか分からず、ただハンドルを握っていた ── あるお父さんから聞いた話です。この問いに、親はなかなか答えられません。
私自身、守備パーソナルコーチとして100名以上の小学生を指導してきて、「なぜこの子はレギュラーで、あの子は補欠なのか」を、監督・コーチ目線で見てきました。結論から言うと、レギュラー入りを決めるのは技術の絶対値ではなく、別の3つの要素です。
この記事では、その3つの要素と、今日から始められる具体的な行動を解説します。技術が追いついていない子でも、レギュラーに滑り込む方法は必ずあります。
監督が本当に見ている3つのこと
多くの親御さんは「打率」「守備でのエラー数」といった数字を気にします。もちろん大事ですが、小学生の野球で監督が優先して見ているのは、実は以下の3つです。
① 態度(一番大きい)
挨拶の声量、練習中の返事、走る場面での全力度、ベンチにいる時の集中度。これは技術と違って「今日から変えられる」要素で、しかも監督の印象を最も強く左右します。
私がコーチ目線で言えば、同レベルの技術の子が2人いたら、絶対に「返事のいい子」を使います。試合で指示が通りやすいし、チームの空気を作ってくれるからです。
② ミス後の切り替え
エラーした後、いつまでも引きずる子と、「次!」とすぐ顔を上げる子。監督が試合で使うのは絶対に後者です。
なぜなら、野球は「1試合で複数のミスが必ず出るスポーツ」だから。引きずる子を使うと、1つのミスが連鎖して試合が壊れます。逆に切り替えの早い子は、チームを救います。
③ 基本動作の精度
ホームランやスーパープレーではありません。キャッチボール・ゴロ捕球・ベースカバー── この当たり前のプレーを「雑にやらない」子が評価されます。
華やかさより安定感。ここは指導者として何年見ても変わらない真実です。
では、今日から何を始めるか
家庭でできる、態度の「再定義」
「元気に挨拶しなさい」と言うのは逆効果になることがあります。子どもは「怒られた」と感じて、余計に声が出なくなる。
代わりに、家で親が先に大きな声で挨拶してみてください。「おはよう!」の音量を親が意識するだけで、子どもも自然に真似します。これは指導現場でも確認されている現象です。
「切り替え」を育てる夕食時の一言
試合や練習でミスした日、帰りの車や夕食時に、親からこう言ってみてください。
「今日のエラー、悔しかったね。
でも、次の打席も守備も、ちゃんとやってたね」
ミスを否定せず、でもその後の行動を褒める。この言葉の積み重ねが、「ミスしても、次を頑張れば評価される」という認識を子どもに育てます。
基本動作の精度は、家で週2回10分で上がる
壁当て10分、ゴロ捕球10分。これを週2回やるだけで、3ヶ月後には別人のように安定します。
練習メニューは自宅でできる守備練習メニューを参考にしてください。
親が絶対にやってはいけないこと
監督に起用を直談判する
逆効果です。監督は「親が出てくる家庭の子」を警戒します。チーム運営が難しくなるからです。子どもの実力で評価されるのが唯一のルートです。
他の子とわが子を比較する
「〇〇くんはもうレギュラーなのに」── この一言が、子どもの自信を最も深く傷つけます。比較するなら、先週のわが子と今週のわが子。それ以外はありません。
詳しい声かけの注意点は逆効果な声かけ3パターンをご覧ください。
補欠期間を無駄にしない過ごし方
レギュラーになるまで、必ず「補欠の時期」があります。この時期をどう過ごすかで、次シーズンのポジションが変わります。
- 試合中、ベンチで「自分ならどう動くか」を考える
- レギュラーの子を1人選び、その動きを研究する
- 家での自主練の目的を「量より精度」に切り替える
- 野球ノートで気づきを毎日3つ書く
私が指導してきた中で、補欠期間を「観察と研究」で過ごした子は、次のシーズンで必ず飛躍しています。ベンチは休憩場所ではなく、情報収集の特等席です。
試合で緊張して実力が出せない子へ
練習ではできるのに、試合になると体が固まる ── これもよくある悩みです。メンタル面のケアは試合で緊張する子へのメンタル術にまとめています。
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最後に
レギュラーになる子と、補欠で終わる子の差は、才能ではありません。態度・切り替え・基本動作の精度── この3つを、毎日1%ずつ積み上げられるかどうかです。
そして親の役割は、監督と戦うことではなく、子どもが毎日1%を積める環境を作ること。それだけです。
3ヶ月後、6ヶ月後、必ず景色が変わります。どうか焦らず、お子さんのペースを信じてあげてください。
—— 上地俊樹/守備パーソナルコーチ(100名以上を指導)
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